議事録という迷路

課長:今日の会議の議事録、取ってくれる?

Giji Rocker(GR):あっ、はい。議事録…。

課長:そう、議事録。会議の記録。ざっとでいいから。

GR:ざっと…。

課長:一字一句書かなくてもいいよ。全部で2、3枚で十分かな。

GR:2、3枚…。

課長:あと、日時とか場所とか参加者とか。もちろん会議の名前も最初に。

GR:会議自体の情報を最初に…。

課長:そう。この会議は大体いつも議論がグルグル回るから、途中経過は省いていいよ。

GR:途中経過は省く…。

課長:そう。最終的に決まったことだけでいいよ。

GR:結論だけ。

課長:そう。結論が出ないこともよくあるけど…。

GR:結論が出ないときは…。

課長:「結論が出なかった」という結論を書いておく。

GR:結論が出ないという結論…。

課長:もちろん表現は工夫してくれよ。

GR:表現を工夫…。

課長:「~については今後、検討が必要」とか。

GR:なるほど、検討が必要。

課長:議事録は社会人の基本。仕事の大事な作法だ。

GR:仕事の作法…。

課長:そう、議事録次第で仕事の方向性が大きく変わることもある。

GR:えっ、そんな大事なんですか、議事録って?

課長:そう、例えば…。

GR:例えば?

課長:……。それは一言じゃ言えないな。

GR:一言では言えない。

課長:これからだんだん分かるさ。

GR:……。


社会人になって最初に教えられたことの一つ。

それが議事録だった。


あれからずいぶん長い年月が経った。

議事録が仕事の基本であること。

あのとき課長から聞いた言葉の意味。

なんとなく分かってきた(気がする)。


でも、逆に気づかされる日々でもある。

議事録の奥深さに。


ギジ録作家になった今も彷徨い続けている。

議事録という迷路のなかで。

(ギジ度3%)

Giji Rockerのギジ録工房/Giji Rock Workshop

ギジ録。それは疑似的な議事録。 愛おしい時間の記憶。それを書き留めた記録。 100%正確とは限らない。 誇張や捏造が紛れているかもしれない。 だから議事録でなく、ギジ録。 ほぼ実話(99%)から、ほぼ作り話(1%)まで。 疑似度はそれぞれのギジ録ごとにまちまち。 アホらしいのは百も承知。 軽やかに笑い飛ばしてお許しください。 Gijiroku Rocks!