遠いコスタリカ。到着すると早速の洗礼?

日本からコスタリカは遠い。

だから、行くだけでまず大変。


直行便がないので、飛行機を最低2つ乗り継ぐ必要がある。

経路はいろいろあるが、ヒューストンやダラスなど、

北米のどこかの都市を経由することとなる。


日本の自宅を出発し、

飛行機を乗り継いでコスタリカに降り立ち、

首都サンホセの宿にチェックイン。

それまでにほぼ丸一日かかってしまう。


それでも、出発した日のうちに到着した形になる。

これぞ、時差のマジック。

時間を余分にもらった感じ。得した気分。ラッキー! 

……などというウマい話があるわけない。

それを思い知るのは帰国時。

得した分の時間が、ごっそり取り返されてしまう。

とにかく、移動だけでかなりの時間がかかってしまう。


かかるのは時間だけではない。

旅費もたっぷりかかる。

安い選択肢を探しても往復で20万円くらいは軽くかかってしまう。

だから、そう頻繁に行ける場所ではない。

「こんどの週末にふらっと行ってくるワ」 

というわけにはいかない。

2000年の初渡航以来、コスタリカに惚れ込んでいる僕。

かなりの遠距離恋愛だ。 


しかし、いざ出発さえしてしまえば、

「あっ、こんな簡単に来られてしまうんだな」

と実は感じたりもする。

距離や費用についてさんざん言ったので矛盾するようだけど。


なんといっても地球の裏側。

帆船しか手段がなかった頃は大変だったろう。

飛行機のおかげで、ある意味、手軽に行けてしまう。

そういう地球規模の移動のあれこれを考えてしまう。


コスタリカに着き、空港の出口を抜ける。

すると、タクシーの運転手たちから猛烈な客引きが殺到する。

なかには、「チーノ!」と呼び掛けてくる者もいる。

チーノ(Chino)の文字通りの意味は「中国人」。

ちなみに女性だとChina(チーナ)。

「~ちゃん」的な接尾語が付くこともある。

チニート(Chinito)とかチニータ(Chinita)のように。


慣れないと一瞬戸惑いを覚える。

確かに元々は中国人を意味していたはずだ。

古くから、鉄道や農地の開発に従事する労働者として、

中国からの移民がコスタリカに多くいたそうだ。


ただ、「チーノ」というのはもはや中国人という意味を超えている。

そのことを、しばらく滞在してから僕は知った。

中国どころかアジアの血が一滴も入っていないコスタリカ人でも、

チーノとかチニートと呼ばれている。

「目が細い」(東洋人っぽい)というだけでこのあだ名が付くそうだ。


見た目の特徴がそのままあだ名になる例は他にも多くある。

肌の色や体形から付いたあだ名をコスタリカでしばしば耳にした。

「えっ、そんなにストレートに表現して大丈夫!?」

第三者ながら、僕がドキっとしてしまうこともある。


おそらく、日本や世界の国々でも、

外見からのストレートなあだ名が昔はもっと使われていたのだろう。

逆にコスタリカでは、外見のあだ名はこれから減っていくかもしれない。

良し悪しの判断は、経緯を知らないよそ者が安易にしないほうがよいだろう。

とにかく、コスタリカに行くと、 

到着早々にこのような文化的洗礼(?)を受けることになる。

心の準備はしておくに越したことがない。 


Giji Rockerのギジ録工房/Giji Rock Workshop

ギジ録。それは疑似的な議事録。 愛おしい時間の記憶。それを書き留めた記録。 100%正確とは限らない。 誇張や捏造が紛れているかもしれない。 だから議事録でなく、ギジ録。 ほぼ実話(99%)から、ほぼ作り話(1%)まで。 疑似度はそれぞれのギジ録ごとにまちまち。 アホらしいのは百も承知。 軽やかに笑い飛ばしてお許しください。 Gijiroku Rocks!