緑の山へ その4
ギジ録 コスタリカ探訪 その11
案内犬に先導されて訪れたCCTの保護区に続き、
コンサベーション・リーグの保護区にも足を延ばした。
「子供たちの永遠の森」という名称が付いている。
ここでも広く濃い森が空を覆っていた。
トレイルを一回りして、ビジターセンターへ。
オリジナルのTシャツを購入。
コスタリカの象徴的なカエルのひとつであるアカメアマガエル。
それが主役となるデザインだった。
自分が現地に置いていったのは入園料とお土産代金。
それくらいの金額では、
自分が来たことによる環境への負荷すら帳消しにならないかもしれない。
でも、ささやかであっても、この保全の取り組みを応援したい。
そんな気持ちが自然と生まれる。
3つ目のサンタ・エレーナ保護区も訪れた。
モンテベルデの3つの保護区のなかでここは最も新しくて最も小さい。
しかし、地元住民が主導して設立されたそうである。
子供たち向けの環境教育にも活用されている。
商業化より地域密着型ということなのだろう。
さて、自然保護の事例に事欠かないコスタリカ。
そのなかでも特に有名な地域の一つ、モンテベルデ。
どのようないきさつがあるのだろうか。
大きなきっかけは、
朝鮮戦争とそれに伴う徴兵に反対したアメリカのクエーカー教徒たちの入植。
1950年頃のことである。
自然豊かな山奥であるこの地で彼ら彼女らは自給自足の生活を始めた。
酪農も盛んである。
その後、モンテベルデのチーズは全国ブランドになった。
最初の訪問から1年後の2001年に僕はモンテベルデを再訪する機会を得た。
その時にチーズ工場の見学もすることができた。
近代的で立派な施設だった。
しかし、そこに至るまでには半世紀近くの歴史があるのだ。
その後、自然保護に関する民間の研究機関であるCCTの取り組みも加わった。
そうして大規模な保護区が設立された、ということである。
コスタリカでは国土全体の4分の1以上が保護区指定を受けている。
これはとてもすごいことである。
そして、国の保護区政策より先に民間の取り組みが進んでいたこと。
それもコスタリカの大きな特徴である。
モンテベルデはその先進事例のひとつなのである。
1980年代以降はエコツーリズムの先進地にもなった。
吊り橋を歩きながら森を上から見ることもできる。
なかなかの迫力である。
他にも、僕はやらなかったが、
ワイヤーからぶら下がって滑走するジップラインのようなアトラクションもある。
カエルやチョウを見るための施設もある。
こうしたエコツーリズムのインフラ整備の一方で、
道路は舗装されないままだった。
そして、それが地域で長年の議論の対象であることも興味深い。
外からの資本主義の論理に支配されず、
できるだけ地元で観光受け入れの形態を決めていくためにどうするか。
それを議論しながら懸命に考えているのだろう。
写真:モンテベルデの森から2001年に見た夕日。
豪雨の合間ににわかに登場した太陽に感激してシャッターを切った。
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