ジュリエット、恐るべし その3
ある日の早朝のこと。
例によって寝静まった住宅地におっさんの大音量が響く。
ガラガラガラ!(シャッターを開ける音)
ジャー!(水道の蛇口を勢いよく空け、バケツに水を汲む音)
ジャラジャラジャラ!(粒タイプの餌をステンレスの更に盛る音)
そして、おっさんの声。
「ジュリエット! おはよう! どうだ!」
ジュリエットはいつも無言。
「さあ、喰え!」
ジュリエットが激しく餌を食べる音が聞こえる。
猛獣感にあふれている。
ここまではいつもと同じだった。
この日、おっさんは調教を試みていた。
「ジュリエット、シット!」
「座りなさい! シット!」
そしてしばらくするとおっさんは激怒した。
「コラ! 何でウンコするんだ!」
「シット! お座り! 分からんのか?」
寝床でそれを聞かされた僕は思わず噴き出した。
すごいじゃないか、ジュリエット!
おっさんより英語を理解している。
なのにおっさんに厳しく叱られている。
不憫なジュリエット。
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