亀の浜へ
ギジ録 コスタリカ探訪 その13
2000年のコスタリカ初訪問。
欲張りな僕の行き先は他にもまだあった。
これでも、コスタリカ通の人の助言を受けて減らしたのだけど。
今回の行き先はトルトゥゲーロ。
トルトゥーガが亀。
なので、トルトゥゲーロは「亀がたくさんいる場所」なのだろう。
首都サンホセから1泊2日のツアーに申し込んだ。
3列シートのバンに乗り込む。
身長は高くないが、がっちりした体格のチャボ(仮名)が運転手。
30代後半くらいの年齢だろうか。
細かいことを気にしないプラビーダ気質のティコに見える。
ガイドのエンリケ(仮名)は20代の若者だった。
色白で細身。頭よさそうな雰囲気。
サンホセを出発して北東に向かう。
郊外には大きなコーヒー畑が広がる。
チャボは車を畑に停める。
エンリケが決めた寄り道じゃないようだ。
ということは、ツアーには含まれていないかもしれない。
チャボのアドリブかな?
整然と植えられたコーヒーの木。
サクランボのように真っ赤な実がなっている。
チャボは実をひとつ摘み取って僕に見せる。
コーヒーの木を見るのは実は初めてかも。
実を見たのは間違いなく初めてだろう。
考えてみれば、僕がそれまで見たことのあるコーヒー。
それは、飲み物になったもの。
あるいは、せいぜい焙煎されたあとの茶色い豆。
それ以前の段階について知りもしなかった。
チャボは、手の中にある実を潰した。
あっ、人の畑で勝手にそんなことして大丈夫?
心配になる僕の気持ちをよそに彼は微笑んでいる。
畑の主と事前に話が付いているのかもしれない。
あるいは、このくらいで目くじらを立てないと分かってるから?
いずれにしてもプラビーダな場面だった。
チャボが見せてくれたコーヒーの実の中味。
白っぽい色の豆が2粒、双子のように並んでいる。
なるほど、僕らがよく飲むコーヒーの元はこうなってるのか!?
小さな感動を覚える。
外国から来た客にはこれが珍しい。
それをチャボは知っているのだろう。
チャボのファインプレイであった。
再びバンに乗って出発。
その後、バンはコスタリカの東側の海岸に至る。
目の前にあるのはカリブ海。
そしてそれは大西洋につながっている。
海岸沿いに北に向かうには船に乗り換える必要があるのだという。
チャボとはここで一旦お別れ。
船でしか行けないのはなぜだろうか?
しっかりした道路がこの先、ないのだろうか。
その答えは、船から見える景色で分かった。
この近辺は険しい崖が覆う地形。
そして、海岸には砂があるが、安定した地面ではない。
立派な道路を作るのは確かに難しいのだろう。
船が通るのは、海でなく、砂地にできた水路だ。
この水路は海岸線と並行に流れている。
海水と淡水が混ざっているに違いない。
両岸は砂地。
草が生えているところもある。
が、岸はどこも生々しくえぐられている。
常に地形が変わっている印象だ。
我々の乗るモーターボートの波も容赦なく両岸にぶち当たっている。
どんどん崩れてしまわないものか、ちょっと心配になる。
そうして着いたトルトゥゲーロ。
忘れられない光景の数々がそこに待っていた。
写真:トルトゥゲーロではないし、ウミガメでもないが、コスタリカで見たカメ。
川で甲羅干ししているところ。甲羅の長さは20~30センチメートルくらい。
船が近づくと、チャポンと水に潜って逃げてしまう。
※本文とは関係ありません。
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