亀の浜へ その4
議事録 コスタリカ探訪 その16
トルトゥゲーロからの帰路。
バンに乗ってサンホセに向かう。
車内でエンリケと話をする。
大学で生物学を専攻しているそうだ。
お金が必要なのでこの仕事をしているという。
なるほど、きっと生物学の知識がガイドに役立つだろう。
そして普通のバイトより給料もよいはずだ。
でも、出会ったときからエンリケは陰気なオーラを放っている。
ラテン系の明るさと無縁なのだ。
プラビーダなオーラがゼロ。
そして、ついに彼は帰りの車内でこう言い放った。
「僕は観光客は嫌いだ。」
おいおい、観光客の僕に対して言うセリフか!?
エンリケご乱心?
いや、そうではないだろう。
これは僕の勝手な解釈だけど、この相手なら本心を言ってもよいと感じたのだろう。
自然を守りたい彼にとって、観光客が増えることは嫌なこと。
なのに、自分はお金のために観光客を案内している。
この自己矛盾に対して居心地が悪いのではないだろうか。
内なる葛藤が陰気なオーラになっていたのだろう。
正直すぎるガイド、エンリケ。
彼の本音を聞くことができたこと。
それを僕はよかったと思っている。
遠くから人が押し寄せることによる影響。
トルトゥゲーロの村や宿泊施設ができたのは、僕のように観光で訪れる人がいるからだ。
そして、ゴミは増えるし、「地元っぽくない」景観が作られる。
移動でも、機械の力で動くボートの波は砂地を削り取る。
僕が快く感じなかった光景。
それを作り出しているのは僕自身なのだ。
だから、そこに住む人たちを責めるのは完全に的外れだ。
このような考えをツアーの間じゅう、心の奥に持っていた僕。
エンリケほどでないにしても、どこか陰気なオーラを放っていたのかもしれない。
それを察知して彼は本音を語ってくれたのではないか?
そんな気がしている。
あれから21年もの歳月が経った。
エンリケは何をしているだろうか?
チャボは?
きっとトルトゥゲーロの光景も変わったに違いない。
変わってほしくないものもある。
ウミガメが安心して産卵できる環境。
勝手な言い分だけど、これだけはいつまでも変わらずにいてほしい。
そうでないと、トルトゥゲーロはもはやトルトゥゲーロでなくなってしまうから。
写真:コスタリカでよくみる光景。
野良犬がぐったり横たわっている。
一瞬、死んでるのか?と思ってしまうが、腹が膨らんだり縮んだりしている。
息をしているので生きている。
疲れ切っているのだろう。
頑張れ、肝っ玉かーちゃん(?)!
※本文とは関係ありません。
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