2度目の訪問

ギジ録 コスタリカ探訪 その18


2000年の初訪問は無事に終わった。

僕はコスタリカに完全に魅了された。

また行きたいと思った。


そのチャンスは翌年に訪れた。

エコツーリズムと平和について学ぶ2週間の研修。

どちらもコスタリカと縁の深い概念だ。

コスタリカの国連平和大学でおこなわれる。

その研修に僕は参加することにした。

2001年11月のことである。


受講者は世界各国から集まった。

近くはグアテマラ、そしてアメリカ。

遠くはケニアから。


講師陣も充実した顔触れだ。

何より僕を惹き付けたのは、ヘラルド・ブドウスキさん。

観光と観光保全の関係について述べた彼の論文。

この数年前に僕は修士課程の研究のなかでこの論文を知った。

一見単純だが深い論考。

感銘を受けていた。


その論文が発表されてから四半世紀。

ヘラルドさんと対面できる機会が訪れた。

実際に会ってみると、その人柄にますます惹き付けられた。

とても控えめで穏やかな物腰。

あちこちの大きな組織の長を歴任してきた人だ。

政治的な能力も持っているに違いない。

でも、僕の前にいるヘラルドさんはただただ素朴で温厚な顔。

純粋な研究者の姿であった。


観光に加えて、国際平和公園や生け垣の重要性。

2001年当時のヘラルドさんはそれを熱心に説いていた。


研修中に視察先の宿でハプニング。

ヘラルドさんと僕が、ツインルームの同室になったのだ。

大御所なので一人部屋のはずだったところ手違いがあったらしい。

恐縮するスタッフに対してヘラルドさんは温厚なまま。


僕にはそれも幸運だった。 

おかげで就寝前に少し会話できた。

「最近は記憶力が落ちてきた。そろそろ第一線から身を引くつもりだよ。」

そう言う彼の表情は、このときも穏やかだった。


いまはもうこの世にいないブドウスキさん。

ご健在のうちに巡り合えてよかった。

僕の心のなかに彼はずっといる。


国連平和大学の講座の前半は主に座学。

そして後半は主に視察。

よくバランスの取れた構成だった。


視察では、エコツーリズムの先進的な事例対象地を訪れた。

前年に行ったモンテベルデも含まれていた。


この視察で特に印象に残ったのがタラマンカ。

カリブ海、つまり大西洋に面したコスタリカ東岸の最南端。

その後、タラマンカは僕にとってとても大切な地域となる。

(そのときの僕はまだそれを知らないけど)


2回目の訪問で僕はますますコスタリカを好きになった。

必ずまた来よう。

そう自分に誓って、2週間の滞在が充実のうちに終わった。 


写真:タラマンカで出会ったカメレオン。

地味だけど木の幹の色とばっちりコーディネートしている。

※本文とは関係ありません。 

Giji Rockerのギジ録工房/Giji Rock Workshop

ギジ録。それは疑似的な議事録。 愛おしい時間の記憶。それを書き留めた記録。 100%正確とは限らない。 誇張や捏造が紛れているかもしれない。 だから議事録でなく、ギジ録。 ほぼ実話(99%)から、ほぼ作り話(1%)まで。 疑似度はそれぞれのギジ録ごとにまちまち。 アホらしいのは百も承知。 軽やかに笑い飛ばしてお許しください。 Gijiroku Rocks!