フィールドワークに向けて

ギジ録 コスタリカ探訪 その19


2000年、2001年と2回にわたるコスタリカを訪問。

1回目は「旅行」、2回目は「研修」。

目的は違えど、ともに充実した2回の訪問。

僕のコスタリカへの愛着は強くなる一方だった。

次に行くときは、コスタリカの農村でじっくり滞在したいと思った。

それは「研究」の目的で訪問するということになる。


2001年から僕はカナダで博士課程に在籍していた。

そして、コスタリカでのフィールドワークを計画することにした。


博士論文のための研究を始める前にいくつかの関門がある。

その最後の一つが、研究提案の審査だ。

2003年夏にこの審査を受けることになった。


それに向けて僕は提案の中身に頭を悩ませていた。

理論的な部分もさることながら、フィールドワークをどうするか?

コスタリカは好きで2回行ったけど、現地調査地のアテは特にない。


自分のテーマに会う地域事例対象の候補を探した。

人づてやインターネット検索でいくつかの候補を見つけた。

そのなかで最も魅力的に見えたのがタラマンカ郡のある集落だった。

これを筆頭候補として研究提案をまとめ、審査をなんとか通過できた。


人を対象とする研究なので大学の倫理委員会の審査も受ける必要がある。

これも初体験なのでビビったたが、結果的には円滑に承認が済んだ。


自分の事情で2003年のうちにコスタリカに行くことはできなかった。

2004年の年明けから3か月にわたって渡航することとした。

3か月というのは、ビザなしで滞在できる最長期間だった。


渡航に先立って、前述のタラマンカの集落などあちこちにメールを送った。

こちらとしては、滞在中の予定を一日単位で決めたい。

しかし、コスタリカの相手方の人たちの反応は共通していた。


「君の希望は分かった。コスタリカに着いたらまた連絡してほしい。」


こんな感じでやり取りが終わってしまう。

先々の予定を早めに決める文化でないのだろうか?

いずれにしても、着いてすぐの首都サンホセでの宿だけは決まってしたが、

それ以外のスケジュール帳はほぼ白紙。


とてもとても不安なまま、僕はカナダからコスタリカに向けて出発した。

2004年1月のことである。


写真:コスタリカには火山が多い。

これはイラス火山。

入浴剤のように黄緑色に染まったカルデラ湖がある。

※本文とは関係ありません。 


Giji Rockerのギジ録工房/Giji Rock Workshop

ギジ録。それは疑似的な議事録。 愛おしい時間の記憶。それを書き留めた記録。 100%正確とは限らない。 誇張や捏造が紛れているかもしれない。 だから議事録でなく、ギジ録。 ほぼ実話(99%)から、ほぼ作り話(1%)まで。 疑似度はそれぞれのギジ録ごとにまちまち。 アホらしいのは百も承知。 軽やかに笑い飛ばしてお許しください。 Gijiroku Rocks!