予告しれくれ カナダ編
時期:2010年代半ば
場所:カナダ
登場人物:ライオネル(仮名)、ライオネルの同僚たち
縁あってライオネルという人と知り合いになった。
彼の出身はカナダ最大の都市、トロント。
そう、ライオネルはシティボーイなのだ。
ライオネルはよく冗談を言う。
周りをクスっと小さく笑わせるような乾いたユーモア。
冗談を言うときも彼自身は表情一つ変えない。
日本の芸人でいうと、ヒロシのような芸風(?)だろうか。
ライオネルが引っ越すことになった。
理由は就職。
行き先は、同じカナダでも田舎町。
相変わらずライオネルは冗談を時々言う。
しかし、都会とは様子が違う。
周りの人はみなポカンとしている。
冗談と気付かれないことも多い。
ポカンとされてしまった場の空気。
そこでライオネルは不本意なことをせざるを得なくなる。
つまり、冗談の意味の説明だ。
説明された冗談ほどつまらないものはない。
「あー、なるほど。」
「面白いね。」
面白いって言ってるけど笑っている人は皆無。
これはツラい。
こうした日々が続く。
そして、ライオネルは同僚からついにこう言われてしまう。
「冗談を言うなら予告してくれないか?
『これから冗談を言う』って。」
同僚は極めて真面目に言っている。
その目には優しさが満ちている。
せっかくの冗談を黙殺してしまわないための依頼なのだ。
でも、冗談を言う前に予告しろって…。
逆にこんどはライオネルがポカンとしてしまう番だった。
(ギジ度75%)
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