サンカルロスでのフィールドワーク 4
ギジ録 コスタリカ探訪 その24
貸出用の長靴を借りる。
くるぶしまで覆うハイカットのトレッキングシューズを履いてきた。
それでも長靴に替えたほうがよいという。
支度が整うと、いよいよ森の入り口に立つ。
ロッジのすぐ目の前に森への入り口がある。
あるいは、原生林のすぐ脇にこのロッジを建てた、というべきだろうか。
カルロスとともに森のなかの道を歩く。
道とは、木々を取り去って開いた幅2メートルほどの土の線。
迷子にならないくらいはっきりしている。
が、人工物を入れることもなく、環境影響を可能な限り抑えている印象。
歩きながら、そして時々立ち止まってカルロスが説明してくれる。
「メモしなくて大丈夫?」とカルロス。
慌ててノートとペンを取り出す。
鈍い僕は、このときようやく気付いた。
この森林ツアーは、新人スタッフである僕への「研修」なのだった。
しっかり学ばなくてはならない。
まず安全面の注意事項。
夕方5時半には暗くなるので、それまでに森から出る必要がある。
「猿沼」と名付けられた湿地は足場が悪いので、この時期は避けるほうがよい。
この地域の森林は熱帯雨林。
コスタリカの他の代表的な森林の種類としては、 モンテベルデなどの熱帯雲霧林や、グアナカステの熱帯乾燥林がある。
ビクトル一家が持つここの土地区画には原生林、二次林、農牧地がある。
原生林の中では20メートル近く先まで見渡せる。
二次林では10メートルがやっと。光が多く入るので地表付近の植物がどんどん成長するため。
この地域の土壌は酸化鉄を含む。肥沃ではない。
140種ほどの樹木がこの区画内にある。
単一樹種のみだと病虫害に弱いが、 異なる樹種同士が混ざることで抵抗力を持つ。
ヤシやシダの仲間が多い。
熱帯雨林の低い層には大きい葉が目立つ。
これは、太陽光を多く受けるためと考えられている。
竹ぼうきのような木があちこちにある。
「歩くヤシ」という愛称がある。
新しい棒状の根(のようなもの)が次々と幹から生える。
それが斜め下に向かって伸び、地中に入る。
こうやって、不安定な土壌の上で倒れずにいられる。
などなど。
歩きながら聞き、聞いたことを慌てて書きなぐった。
その当時のメモを見ながら上のように書き起こしてみた。
(なので、不正確なことがあるとすれば僕の聞き違いか書き違いです)
興味深い話ばかりだった。
自分のように植物や動物にまったく詳しくない人間には、自分一人で歩くと通り過ぎてしまうだけの森。
このように程よく説明を受けながら歩くことで、味わい方が少し分かる気がした。
これが、ガイド付きエコツアーの魅力なのだろう、と何となく理解できた。
写真:削られた崖の土を見ると、いかに赤みが強いかわかる。
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