サンカルロスでのフィールドワーク 5

ギジ録 コスタリカ探訪 その25


カルロスに連れられて森を歩く。

100ヘクタールほどの原生林だ。

ざっと1キロメートル四方の面積ということになる。


時々、木々の上のほうからざわざわと音が聞こえる。

そのときは大体、サルの群れがいる。

ここには3種類のサルがいるそうだ。


赤みがかった色で尻尾の長いのがクモザル。

黒っぽくて力強いのがホエザル。

顔のあたりだけ白いのがノドジロオマキザル。


僕の心を特に奪ったのはノドジロオマキザルだ。

カプチン(つまりカプチーノ)とも呼ばれるこの種。

なるほど!

コーヒーにクリームがのっかったカブチーノからの命名だろう。

確かに、濃い茶色とクリーム色の対比が鮮やか。

この連想をした命名者のセンスがいいね。

顔が白く表情が見やすいせいか、親しみを覚えてしまう。


サルの群れは大抵は人間のことなど気にせず木の上を動き回っている。

木の実や花や葉を食べていることも多い。

まれに大柄のオスが威嚇するようなしぐさを見せることがある。

下にいる人間のほうに向かって物を投げてきたりすることもまれにある。

でも、かなりの距離があるので危険を感じることはない。


親子を見ることもよくある。

赤ちゃんが母親にしがみついている姿はいとおしい。

あれで地上20メートルくらいの不安定な木の枝を飛び移ったりする。

すごいね。


たくさんの生きものたちが確かにここで暮らしている。

そんな実感を身体に覚えつつ、森歩きは続く。 


写真:コスタリカの別の場所で出会ったサル。カプチーノ顔(?)が印象的。

(2019年撮影)

Giji Rockerのギジ録工房/Giji Rock Workshop

ギジ録。それは疑似的な議事録。 愛おしい時間の記憶。それを書き留めた記録。 100%正確とは限らない。 誇張や捏造が紛れているかもしれない。 だから議事録でなく、ギジ録。 ほぼ実話(99%)から、ほぼ作り話(1%)まで。 疑似度はそれぞれのギジ録ごとにまちまち。 アホらしいのは百も承知。 軽やかに笑い飛ばしてお許しください。 Gijiroku Rocks!