サンカルロスでのフィールドワーク 9

ギジ録 コスタリカ探訪 その29


ジャングルツアーのガイド。

その役を担わなければならなかった僕。

そのため、森のなかのことを教えてもらった。

自分で見聞きしたことと合わせ、必死で吸収した。


そうして得た知識は、18年経った今でも自分の中に残っている。

例えばヤドクガエルのこと。


森で見るカエルのうち、特に2種類がドハデだった。

ドハデなのは、毒を持っているのだ。

危険であることを色で示している。

昔、先住民はヤドクガエルの背中から取った毒を矢の先に付けたそうだ。

そうして狩をしていたとのこと。

だから日本語でもヤドク(矢毒)ガエルと呼ばれるのだ。


緑と黒のまだら模様なのがマダラヤドクガエル。

見るからにヤバそうな色と柄だ。

大きさは4、5センチメートルくらいか。


真っ赤なのがイチゴヤドクガエル。

脚だけ濃い青なので、ブルージーンという愛称もあると現地で聞いた。

こちらは2センチメートルくらいで、とても小さい。

そしてかわいい!


森でこれらのカエルと出会うと嬉しくなった。


それ以外にも、人と森の関わりについての話が興味深かった。

それこそ矢を立てたような形をした樹木(名前は不明)。

矢の先端が上だとすると、羽根が地面あたりで放射状に広がる。

そんな形状の幹の根本なのだ。

こうして張り出した羽根状の幹の窪みに人間が潜むことができる。

上に大きな葉っぱ重ね、覆いにする。

そうすれば雨露しのぐ簡易テントになるそうだ。

時に激しい雨が降る熱帯のジャングル。

なるほど、と感じさせられた。


あるいは、森のあちこちで見かけるツル。

ごく細いものから、7、8センチメートルほどの直径のものもある。

こうしたツルは、昔、ジャングルを行く人間を助けたそうだ。

移動中に喉が渇いたら、ツルを鉈でぶった切る。

中からあふれ出てくる水分を飲んだそうだ。


このような魅力的な話の数々。

とても愛おしく感じられた。



写真:イチゴヤドクガエル(2004年筆者撮影) 

Giji Rockerのギジ録工房/Giji Rock Workshop

ギジ録。それは疑似的な議事録。 愛おしい時間の記憶。それを書き留めた記録。 100%正確とは限らない。 誇張や捏造が紛れているかもしれない。 だから議事録でなく、ギジ録。 ほぼ実話(99%)から、ほぼ作り話(1%)まで。 疑似度はそれぞれのギジ録ごとにまちまち。 アホらしいのは百も承知。 軽やかに笑い飛ばしてお許しください。 Gijiroku Rocks!