サンカルロスでのフィールドワーク 10
ギジ録 コスタリカ探訪 その30
2004年1~2月の僕のサンカルロス滞在。
あっという間に5週間が経った。
もって長くここにいてほしいというありがたい言葉ももらった。
でも、僕はここを去らなくてはならなかった。
なぜなら、3か月のコスタリカ滞在中に、少なくとももう1か所でフィールドワークをする必要があったから。
そして、それは僕の研究対象である「共有林」の事例である必要があった。
ということで2月後半、僕は一旦、首都サンホセに戻ることにした。
出発の日の朝、少し時間に余裕があった。
そこで、ロッジからひとりで歩いて沼に行き、カヌーを漕いだ。
両岸を高い木が覆っているところでは陽射しもない。
涼しくて静かな空間。
僕は名残り惜しみつつ、その静かな時間を味わった。
沼のあちこちに倒木が見える。
浅いので、水面から一部が浮き出している部分もある。
そのなかの一本の倒木の上に僕は何かの気配を感じた。
そこにいたのはバシリスクと呼ばれる緑色のトカゲだった。
オーストラリアを旅したときからトカゲ好きの僕。
美しいバシリスクと1メートルくらいの距離で対面。
心躍る瞬間だった。
目と目が合っている(気がする)。
すぐに逃げないので、心が通っているのだろうか?
そんな妄想をついしてしまう。
おそらく1分間くらい見つめ合って(?)いた。
とても贅沢な時間だった。
ずっとそうしていたかったけど、僕のほうがタイムアップ。
そろそろ出発しなければならない。
カヌーを少し動かすと、バシリスクは逃げ出してしまった。
水面を走りながら。
そう、バシリスクは水面を走ることで有名なのだ。
カヤックだからこそ、このように近づくことができた。
そして、間近で水面走りも見せてもらうことができた。
映画「スタンド・バイ・ミー」で主人公の少年が森で鹿と遭遇する場面。
それを思い出してしまった。
僕にとってバシリスクとの対面は映画の一場面のような忘れられない記憶となった。
ここまで、サンカルロスでのフィールドワークを回顧してきた。
どちらかというと生き物とか自然環境の話が多かった。
でも、実は本当に語りたいのは人々のこと。
なので、この続きはまたいずれ書き綴りたい。
これはバシリスクでなくイグアナ。
サンカルロス川の岸にて2004年に撮影。
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