タラマンカでのフィールドワーク 2
ギジ録 コスタリカ探訪 その32
国境の街、シクサオーラ。
幹線道路沿いに飲食店や雑貨店などが数件並ぶ。
空車のタクシーを見つけ、運転手さんに声をかける。
行き先を告げる。
すぐに行き先を理解してもらえるか不安だったが、それは杞憂だった。
一発でOKの返事。
料金は6000コロンとのこと。
四輪駆動の車に乗り込む。
いまバスでやってきた幹線道路をしばらく戻る。
そして、右折。砂利道が続く。
しばらくして左折。
車1台分の幅のぬかるみの道。轍が深い。
なるほど、四輪駆動車でないと難しい。
シクサオーラから20分くらい経っただろうか。
「ここだ。」運転手が言う。
お金を払い、車を降りる。
午後1時頃のことだった。
家のおかあさんと思われる人が出迎えてくれる。
道から30メートルくらい奥に入ったところに家が見える。
1階はブロックとセメントで頑丈そうにできている。
おかあさんに導かれて、家の中に入る。
まずは挨拶。
おかあさんの名は、オリビアさん(仮名)。
僕がサンホセから電話で話した相手のおとうさんは不在。
畑仕事で外にいるとのこと。
家は2階建てで、2階部分は木材でできている。
この地域では洪水が時々あるので、1階にはセメントを用いたようだ。
そういえば、タクシーから見た途中の家々は木造で高床式だった。
浸水する前提で家が建てられているようだ。
家に入ってすぐ右手の一室を僕が使ってよいとオリビアさんが言う。
きれいに片づけられ、ベッドメイクしてくれている。
蚊帳も設置してくれている。
こんなどこの誰かもよくわからない外国人。
なのに、こんなに親切に歓迎してくれるオリビアさん。
ありがたみが身に沁みる。
着いて早々だが、疲れ果てていた僕はオリビアさんにお願いした。
「少し休ませてもらってよいですか?」
失礼を承知だが、早朝からの移動と、緊張からの解放。
疲れがどっと出てしまったのだ。
オリビアさんは快くOKしてくれた。
1時間くらいベッドで横になり元気回復。
起き上がって、その間に家に戻っていたおとうさんとご挨拶。
名前はルーカスさん(仮名)。
どちらかといえば小柄なその全身から快活なエネルギーが満ち溢れている。
表情にも声にも、明るい力がみなぎっている。
しばらく話していると夕方になり、空が少し薄暗くなる。
すると、子どもたちが帰ってくる。
みな礼儀正しく、同時に社交的だ。
こうして、僕のタラマンカでの滞在が始まった。
写真:ルーカスさんの家の近くのバナナ畑。すぐ隣に大きなバナナ農園があるが、これは自家栽培の小さな畑。
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