タラマンカでのフィールドワーク 7
ギジ録 コスタリカ探訪 その37
ルーカスさんの家族の一日の始まりは早い。
朝の7時頃には子供たちは全員登校のため家を出発している。
ルーカスさんやオリビアさんの朝のルーティンも完了している。
そのあとは夕方まで、ルーカスさんの指示により仕事を手伝う。
…というか、色々なことを教えてもらう。
それが、現地滞在中の僕の暮らしとなった。
仕事の内容は多岐にわたる。
その中で体力的に最もつらかった仕事。
それは、トウモロコシ畑での草取りだった。
晴れた昼間に日なたにいると、ここが熱帯だと思い知らされる。
暑い。
そして、足の裏が焼けるように熱い。
土の熱が、長靴の底を伝って足に届くのだ。
トウモロコシは最も大切な作物の一つのようだ。
夕方になると、家のなかで収穫したトウモロコシの粒をひらすらもぐ作業をする。
雨が強い日も、この作業をひたすらする。
ここのトウモロコシは、日本で見慣れているものとはまったく違う。
粒は、濃いオレンジ色のものが多い。
大きさも日本で売られているものより二回りくらい小さい。
そして、最大の違い。
それは、固さかもしれない。
収穫直後でも粒がカチカチに固い。
だから、粒をもぐ作業では、慣れないと指先がすぐ痛くなる。
食べかたも日本とは違う。
日本では、そのまま茹でたり焼いたりして食べることが多い。
コスタリカでは、粒を挽いて粉にして、それをこねて調理するのがメインだ。
例えば、トルティージャ(トルティーヤ)。
メキシコ料理に欠かせない。
コスタリカでもよく食べられている。
これは、トウモロコシを挽いて練って焼くパンのようなものだ。
トウモロコシは、鶏の餌としても用いられている。
鶏は粒のままパクパクと食べる。
トウモロコシを挽く機械は家の前の東屋にあった。
決して大きくはない。
だが、固いものに負けない歯のついた金属製のがっちりした装置。
レバーを手で回して、内部ですり潰す構造。
「コロンブスが持ち込んだ機械で、それ以来ずっと使っているんだよ。」
ルーカスさんが言う。
いたずら好きの笑顔で。
このような冗談が予期せず時々来るので油断できない。
写真:収穫したトウモロコシ(2004年撮影)
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